―新宿のビアガーデン。 あちこちでカンパイの声がする。夏の夜空はネオンでチカチカしている。
楽しげな人々の様子に少し気持ちも晴れてきた。

―それにしても、こんなに泣きはらした顔で人前にでるの恥ずかしいなあ…

「ミキー!こっちこっち〜!」
「あっ、久しぶりー!行こっアイ!」
「アタシ、ちょっとトイレ行ってくるねっ」

トイレでひと息、鏡を見る(ひどい顔…)パウダーでおさえて、オレンジのチークをのせる

「よしっ」
気合いを入れてドアを開ける。

笑顔、笑顔…廊下にでて元気よく歩きだす

―余計なことは考えないで、ニッコリ…

―そのとき、誰かと目が合う―目の前に、あの瞳―

え…デジャブ…?

「あ!」

思い出した…
今朝、ホームで会った男の人……なんでココに…

アイをまっすぐ見つめる瞳。何か言おうとするが言葉がでない。


「あっ塚本センパイ!こんなトコにいたんですかっ、みんな待ってますヨっ!」

ミキがはずんだ調子でかけよってくる。
顔が少し紅潮してるみたい。

「ああ」
えっ??ミキとこの男(ヒト)…