「春日とは昨日初めてしゃべったんだ。
ただ気があうだけ。」


そう答えた俺から篠原はまだ目を離さない。


「なあに、しのちゃん怖い顔しちゃってんだよ。
確かに俺らの知らない間に春日っちに裕吾ちゃんを取られたのは悔しいけど
嫉妬はむき出しにしちゃあ美しくないぜ?」


と、険悪なムードを察知した墨田が冗談めかせた軽い調子で空気を和らげるように言うと
はっとしたように篠原も俺を離した。


「あの変わり者と気があうなんて、ゆうも大した者だな。」


そして完全にいつものトーンに戻って言うと
顔に似合わない世話焼きっぷりを発揮して、俺の左手にメロンパンを握らせてから背中を押して送り出した。