「藤谷涼太。お前と同じ1組。」
素っ気なく答える。

「藤谷…くんって、呼んでもいい?」

「あぁ。じゃあ彩乃、って呼ぶわ。」
彩乃って呼ばれて不覚にもドキッとする。
「えっあっ、はい!」
「ハハッ。あ…俺、先に教室行ってる。」

「はいっ」
藤谷くんはあたしに微笑み、教室の方に走って行ってしまった。 
…あたしも行かなきゃ。
そのとき、あたしに誰かがぶつかった。
__ドンッ。
「きゃっ!ごめんなさいっ!」
女の子がぶつかったらしい。女の子は頭を下げて少しして頭を上げる。するとにこっと微笑む。
目がぱっちりしてて、二重。微笑むとえくぼが出てすごく美人。

「あのっ、あたしこそごめんなさいっ!」
あたしも頭を下げる。
「そんな、そんな!あのっ、友達になってくれる?」
女の子は首を傾げる。
「はいっ!あたし、篠崎彩乃です!」
「あたしは佐々木美湖(みこ)!」
えくぼを出して微笑む。
可愛いなぁ~。
「あっ、やばい!遅れるっ!じゃあ、後でね!」
「う、うん!」
一緒に行こうと思ったけど、そうは行かなかった。
あたしも行かなきゃ。