「好きだ」
これを言ったのは、中学生の時だった
もう、翼の鈍さもなおって大人になったんじゃないかと思った
なのに…
「えっ?私も好きだよ
幼馴染みとして大好きっ!」
んな、残酷なことを言ったんだ
俺の想いはいつ届く?
お前は俺が居なくても生きてられるのか?
俺は無理だ…
お前なしじゃ生きてけねぇんだ
俺はお前が欲しい…
それは今になっても変わらない
「好きだ」
これを言ったのは高校の入学式の後のことだった
「ずっと一緒にいよ?」
それは、いつもとは違う答え
期待していいのか?
嫌…心の中ではしているんだ
ずっと翼が一緒に居てくれることを…
でもそのあと、翼の口から『好き』を聞くことはなかった
俺の期待は絶望に変わった
だけど他の女に走る事はなかった
翼が俺を見てくれてなても、俺はお前が好きだから
それは今になっても変わらない
「樹は好きな人いる?」
それは突然の質問だった
「あぁ…いる(お前だよ)」
別に嘘をついても仕方ない
どうせ翼は気付かないし…どうも思っちゃいねぇし
「…その人のところ行っちゃうの?」
「はっ?」
本日二回目の思いがけない言葉に間抜けは声が出た
「行かないで…樹のこと好かだから…
幼馴染みとしてじゃなくて…そ、その…
恋愛感情で好きだからッ!…お願い…
好きになってもらえるように努力するから…っ!」
遅いんだよ…言うの…
四回目の告白はまさかの翼からだった
やっと翼の『好き』が聞けた瞬間だった
「ふざけんな…」
嬉しいのに…
「えっ?」
「俺がどれだけ待ったと思ってんだよ」
「…」
どういう意味か分かっていない翼は首を傾げる
「俺は昔からお前が好きだった」
「へっ?」
「お前が鈍いからわりぃんだ」
「…何か、すみません」
「お前の好きが貰えたからいい…」
意味も全然分かってねぇのに謝る翼
「じゅ、樹はほんとに私のこと好き?」
顔を真っ赤にして言う翼
「翼…おいで」
手を広げればちょこちょことこっちに来る翼
やっと手に入れた
「結婚しよう…」
「はい…」
ニコッと笑って俺に抱き着く翼
「愛してる…」
「私も…愛してるよ…」
やっと貰えた翼からの『愛してる』
「もう、離してやんねぇから」
「離さないでよ…」
六回目の告白はプロポーズと言う名の告白だった
「樹…話があるから時間をつくって欲しいの」
それは二日前に突然言われた翼の言葉だった
結婚生活が始まって一年目
「離婚話なら聞かねぇから」
「そんなんじゃなくて…」
「ならいい…どうした?」
「その…できたの…」
「できた…?」
「あ、赤ちゃんが…」
「…」
嬉しすぎて言葉も出なかった
でも、体は勝手に動いていて翼を優しく抱き締めていた
数分の沈黙
「嬉しすぎて死んでもいい…」
「だ、ダメだよ!」
「嘘だよ…翼を置いてけるわけねぇだろ」
「ねぇ…産んでもいいの?」
「はっ?当たり前だろ」
「ありがとう」
「俺の方がありがとうだし…マジ愛してる…」
俺の言葉に真っ赤になる翼
「わ、私も愛してる」
七回目の告白は赤ちゃんができたと言う嬉しすぎる告白だった
俺は今、世界で一番の幸せを手に入れた
END☆