今日も俺はお前を鎖で繋ぐ━━━
『幼馴染み』という一生取れない鎖で━━━
「好きだ」
言ってしまった…
言ってはならないことを…
幼稚園の幼い俺は言ってしまった
それでも、お前は…翼は気付いてくれない
「守ってあげるっ!
私が樹のこと守ってあげる」
両親が事故で死んだ時お前はそう言った
俺を必死に抱き締めるお前が愛おしくて仕方なかった
でも、返ってきた言葉は男の俺よりも強い言葉
俺はそんな言葉なんて求めていない
『樹…私も好きだよ…』
そう言って欲しい……
その願いは今になっても変わらない
「好きだ」
これを言ったのは、中学生の時だった
もう、翼の鈍さもなおって大人になったんじゃないかと思った
なのに…
「えっ?私も好きだよ
幼馴染みとして大好きっ!」
んな、残酷なことを言ったんだ
俺の想いはいつ届く?
お前は俺が居なくても生きてられるのか?
俺は無理だ…
お前なしじゃ生きてけねぇんだ
俺はお前が欲しい…
それは今になっても変わらない
「好きだ」
これを言ったのは高校の入学式の後のことだった
「ずっと一緒にいよ?」
それは、いつもとは違う答え
期待していいのか?
嫌…心の中ではしているんだ
ずっと翼が一緒に居てくれることを…
でもそのあと、翼の口から『好き』を聞くことはなかった
俺の期待は絶望に変わった
だけど他の女に走る事はなかった
翼が俺を見てくれてなても、俺はお前が好きだから
それは今になっても変わらない
「樹は好きな人いる?」
それは突然の質問だった
「あぁ…いる(お前だよ)」
別に嘘をついても仕方ない
どうせ翼は気付かないし…どうも思っちゃいねぇし
「…その人のところ行っちゃうの?」
「はっ?」
本日二回目の思いがけない言葉に間抜けは声が出た
「行かないで…樹のこと好かだから…
幼馴染みとしてじゃなくて…そ、その…
恋愛感情で好きだからッ!…お願い…
好きになってもらえるように努力するから…っ!」
遅いんだよ…言うの…
四回目の告白はまさかの翼からだった
やっと翼の『好き』が聞けた瞬間だった
「ふざけんな…」
嬉しいのに…
「えっ?」
「俺がどれだけ待ったと思ってんだよ」
「…」
どういう意味か分かっていない翼は首を傾げる
「俺は昔からお前が好きだった」
「へっ?」
「お前が鈍いからわりぃんだ」
「…何か、すみません」
「お前の好きが貰えたからいい…」
意味も全然分かってねぇのに謝る翼
「じゅ、樹はほんとに私のこと好き?」
顔を真っ赤にして言う翼
「翼…おいで」
手を広げればちょこちょことこっちに来る翼
やっと手に入れた