ゴオゴオと音を上げる炎。


「君、危ないから下がりなさい!」


消防隊員があたしを野次馬の列まで戻そうとする。


でも、あたしはその腕からすり抜け、燃え盛る家の中へと勢いよく入って行った。


玄関に入ると、そこにはまだ火は回ってきていなかった。


ただ煙にやられてしまわないように、口にハンカチをあてる。


炎の熱が体中を燃やしてしまいそうなほど熱かったが、あたしはなんとか廊下を進み、リビングがあるはずの一階のドアを開けた。