5メートルほど離れた場所に、黒いTシャツに黒いズボン、そして黒いキャップをした男の後ろ姿が見えた。


男は現場の様子を気にしているようで、あたしたちの存在には気がつかない。


その時、男が少し体勢をずらしたことで手に持っていっているナイフが見えた。


キラリと光る刃先に血がついている。


和花が「ヒッ」と、小さく息を飲んだ。


サッと顔が青ざめていく。


どうしよう……。


この状態じゃ、動いたら気づかれてしまうかもしれない。