優しい香川くんは、ワタシを運びながら『もう少しで保健室に着くから、辛抱して、小春』と声を掛けてくれた。
何を辛抱しろと言うのだろう。
普通に考えて辛抱するのはワタシではなく、重たいワタシを運んでいる香川くんの方だ。
いたたまれない思いをしていると、パタパタとワタシの方に駆け寄る足音が聞こえた。
「小春ちゃん、大丈夫!??」
大志くんの声がした。
・・・・・・・・なんで大志くんの声がするの??
「大志、授業中だろ?? どうした??」
香川くんも、大志くんがいる事に疑問を感じ、問いかける。
「オレの席、窓側なんですよ。 教室の窓からグラウンド眺めてたら、小春ちゃんが倒れたのが見えたから」
大志くんは、ワタシを心配して授業を抜け出してくれたの??
・・・・・・・・・大志くん、授業サボってる場合じゃないくらい成績悪いのに。
でも、ちょっと嬉しい。
そして、大志くんもごめんなさい。
やっぱり申し訳ない。
何やってるんだろ、ワタシ。