そして、男の子も
相変わらず泣き止む気配がないまま

1時間近く経過してしまっている。


学校のチャイムと共に


さっきまでの静けさは嘘のように
廊下や中庭などから
子供の騒ぐ声や、足音が
そこら中から聞こえ始め



コンコンっ



「失礼します。
入学式の方が終わりましたので
自己紹介や、教科書配布などございますので
宜しければ、教室の方へお越し下さい。」



この雰囲気を全然察しない
若い男性教師が
そんな言葉を残し
立ち去って行った。



入学式終わっちゃったんだ。



「この方と同じクラスなんですよね?
じゃあ、これから
ずっと顔合わせないといけないんですよね?」


嫌そうな表情を浮かべ
キツネのように釣り上がった目で
私の方を見て
先生に、そう言う母親に


「お前、何言ってんだ!
ちょっと冷静になってないもので
本当にすいません」


隣にいた少し大柄なメガネ姿の父親らしき人が
私に頭を下げた。