ー昼休みー
「ねえ朝香。」
「ん?」
いつものように廊下でたわいもない話をする私達。
私にとってはこの時間が心から幸せだ。
「来週さ、侑の誕生日なんだよね。」
「知ってる。」
そっか...
2人には、私にはない共通の時間がある。
たかがクラス。
でも、そのクラスで起こっている出来事は、決して私には関わることができない。
「私、なにあげたらいいかな。」
「私がなにを言ったって、菜乃花は自分のあげたいものをあげるでしょ。」
.....さすが親友。よく分かってる。
「私はさ、菜乃花のそういうところ、好きだよ。」
唐突に褒められたものだからびっくりしてしまう。
「好きだっていう気持ちに正直になったり、画さないでちゃんと相手に伝えるって、実はすごく難しいと思うんだよね、私。
振られたらどうしよう、振られるぐらいなら言わない方がいい、嫌われたらどうしよう、なんて。
誰だって不安になるし、そういう気持ちが心にブレーキをかけちゃうんだと思う。
だから、菜乃花みたいに堂々と好きって言えるって、本当にすごいことだと思う。」
そう言って朝香はふっ、と小さく息を吐いた。
切なげにそう語る朝香は大人びていて、なぜだか私には一生かなわない、そんな気持ちがした。
ーねえ朝香。私はあの頃、あなたにとってどんな存在でしたか?
友達?親友?それとも....。
今でも私は、あなたの中に生きていますか....?ー