「仲良くできそうで何よりです」
「「どこが!!?」」
「はは。そういえば朱ちゃん、今日はお夕飯こっちで食べるんですよね?」
「はい。母の帰りが遅いらしいので」
私は今母と二人暮らしだ。父は単身赴任で北海道。
母も父も「見える」人間なので私のことはわかってくれる。だから日が沈んだ後、一人で出歩くことは極力避けるようきつく言われているのだ。
冬場はどうしても学校が終わった後だと日が沈んでしまう。さっきのように追われるのだ。昼間でも追われるが、日が沈んだ後のほうが追われる数は断然多い。
「今日はからあげですよ」
「ありがとう。蒼さん」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」
「今度お菓子買ってきますねー」
「和菓子でお願いします。みんなで一緒に食べましょう」
優しくほほ笑む蒼さん。
そして、それとは対照的にむすっとする熾音くん。
「なに?」
「いや、なんでもない」
むすっとしているというよりは真剣な面持ち、というべきか?
熾音くんはしばらく私をずっと見ていた。
私、なにかした?! 身長は馬鹿にしたけど!! いいじゃん、ちっちゃいのかわいいじゃん!!