「……蒼さんっ!!!」
「あぁ、朱ちゃんいらっしゃい」
必死こいて神社にたどり着くと、この神社に住み着いている妖怪の蒼さんが迎えてくれた。
蒼さんは普通に人間としても働いているらしい。キツネの妖怪で、人間が大好きなんだそうだ。ちゃんとした妖怪だから神社に入れるらしい。
神社に入れないのは邪な妖怪だけらしい。
「今日も追いかけられたんだね」
「はい…」
私は昔から追いかけられる。「見える」というだけでは普通は追いかけられないらしいが、私は追いかけられる。なぜだ。
妖怪の姿の時は顔を完全に隠してしまっている蒼さんが私を神社の隣にある家に招き入れる。ここが蒼さんの住処だ。
「疲れたでしょう。はい、お茶」
「どうも…」
私は差し出されたお茶をすする。
あぁ…落ち着く。
「朱ちゃんもたいへんだね」
「うぅー…」
「そういえば、そろそろあの子も帰ってくるな…」
蒼さんが思い出したようにつぶやく。
あの子…?