はらり、枯れきった葉っぱが一枚、裸になってしまった木から落ちる。

それを見ながら哀しげな瞳でふぅ、と息を吐く一人の男性がベンチに座っていた。

白いくすんだタキシードを身に付けた男性は、青く澄んだ空を見上げる。


ああ、綺麗だ。とても綺麗だ。
綺麗すぎて、憎たらしいほどに。


きゅっ、と唇を噛んだ男性は脳内に浮かぶ女性を想い、もう一度溜め息をつこうとしたところで。



「っ…のわあああああああああっ?!」

「?!」



ドーンッ!…

叫び声を上げる男性が落ちてきた。

その傍らでは白い猫が、ぺろぺろと手の甲を舐めている。