僕は手で口を押さえた。
ツンとした独特の血の匂いが
鼻をくすぐる
今にも吐きそうだった。
ズタズタに傷つけられた
体は人間とは思えないぐらい
ボロボロになっていた
ただ…1つだけ分かったのは
死体の腕らしき部分に
僕の母と父が大切に身につけていた
水晶の腕輪が血にまみれて光っていた
あれは…
母と父の記念日に
僕が2人にお揃いで渡した水晶……。
口を押さえていた手の力が抜ける
と同時に足の力も抜け
僕はその場に崩れ落ちた。
…なぜだ?
…なぜ母と父が…?
…嘘だ!違う!
あれは母と父ではない!
母と父は今頃
家で僕を待っている!
僕は人だかりを押しのけ
家へと走った。