「あれ…私また泣いてる…」



 かなえは、突然涙を流した。自身でも、生温い液体が頬に伝ってから、泣いていることを理解した。



「…っ私なんて、死んでもよかったんだ。どうせひとりぼっちだし、暗いし…。私なんか、必要なかったのに。
羽村なんで殺してくれなかったんだろう。
野谷さんは、こんな私を励ましてくれたけどやっぱり私なんていない方が良かった」



 ボロボロ泣きながら言う。



 羽村のことで、心に傷を負った。自分の身代わりになって死んだから、特に。



 けれど、ひとつ間違っている。


 かなえは、


「「いらない存在なんかじゃない」」



 千春と光太顔を見合わせる。同じことを口にしたふたり。千春は、心がくすぐられるように嬉しくなった。



「ハハッ」



 光太は空元気で笑う。ちっとも、笑顔が作れていなかったが。



 (光太君、無理しないで)



「ってことで、宮河。自分のこと責めるなよ?」



「なんか、ふたりとも、野谷さんとそっくり……。少しだけ元気が出た。ありがと…う」



 かなえは、涙を流しながら、けれど哀しく笑った。