グラリと振り子のように肢体が揺れる。



「ゔぅっ」



 という声と共に、羽村は倒れた。


 鮮血がぷしゃあと、霧吹きのように吹きこぼれる。


 どこからか発砲された銃弾は、こめかみに直撃し、羽村は即死した。撃ったのは、相当な銃の名手なのだろうか、はたまた偶然が重なり、良い角度だったのか。




「…っ」



 陽菜は、口が震えて声が出ない。気持ち悪さが、込み上げてきて、限界だった。









 ───羽村が死んだ。



 それは、紛れもない事実だった。





「キャアアァァァ!!!」



 たくさんの悲鳴が体育館に満ちる。男子のものも、入り混じっていた。


 そして、ほとんどの人が涙を流した。






 …それは、“羽村が死んでしまった”
という事実に泣いたようではなく、
“目の前で人が死んだ”ショックだった。


 震えて俯く陽菜の背中を擦る光太。光太自身も、唇をわなわなとさせていて、決して精神状態は良いものではなかった。



 千春は涙を流し、同じグループの女子と共に泣いた。







 ――あと、24人。