「っ…」



 余ってしまって、1人だけ立っていた女子。



 前髪も後ろ髪も長くて、メガネをかけていて、いかにも根暗そうな雰囲気を漂わせている。




 その女子、宮河かなえが口を開いているところは、クラス内でもほとんど見たことない。人見知りなところが、自然と省られる対象となってしまっていた。



 かなえの細く頼りない脚がガクガクと震えている。きつと、唯たちを思い浮かべているのだろう。


 ────自分も、あんな風に死ぬのだろうか。





 陽菜は、唇を噛み締め、制服のスカートの裾をシワができるくらい、強く掴んだ。再び、酷い吐き気がこみ上げてきた。頭を掻きむしりたい衝動に駆られる。



(宮河さんが、このゲームの最初の犠牲者)


 かなえは確かにクラスで省られているけど、嫌われているわけじゃない。ただ、絡みにくいってことだけだ。あの子は、ひとりでも大丈夫。そう、思われるようになってしまったのだ。





 千春は、眉を寄せ、自らの体を強く抱き締め、浅い呼吸を繰り返した。


 そして、心の中で懺悔した。


 (私、代わってあげたいだなんて思えない、ひとり、あんな風余るのは嫌…。ごめんなさいごめんなさい)