「まさか、あの羽村君がはじめに指名されるとは…っ」
千春の連れてきた女子の内、ひとりがボソッと呟いた。
羽村は、本当に優しい。分け隔てない笑顔と、人気を鼻にかけないところが本当に好かれている。
だから、羽村君が人を殺すことは想像のつかないことだった。
しかし、指名された以上、余った人を殺すしかない。クラスメイトの出来かけの輪で、そんな波紋が、動揺が広がる。
舞台に立っている羽村の頬は青ざめていた。自分は、人を殺さなくてはならない。殺さなくては、きっとこんな狂ったゲー厶は、自分を殺すだろう。
そして、それを知らしめるためにわざわざモニターに映したのだ。唯たちの終末を。
(俺は、どうすれば…)
羽村のような穢れのない善人も、当然人間だ。だから、生きたい。なんとしても生き延びたい。けれど、生き延びるためには他人を殺さなければならない。
(ゲームが本物なら、生き残るのはたった1人。俺は、人を殺してまで、その1人成り得たいのか?)
少し時間が立つと、ほとんど6人グループに集まっていた。
さっきは、唯たち3人が殺された。
だから、羽村と唯たち3人を省くと、クラスの合計人数は25人になる。それを6で割ると────。
そう、1人。1人余る。