耳に、癖のある機械音がこびりついて離れなく千春はカタカタと震え、陽菜は深く息をつき、目を瞑った。



『ヤリダッテモッテルシ』



「槍だって持ってるし…」



『テッポウダッテモッテルモン』



「鉄砲だって持ってるもん」



 少しずつ慣れてきたのか、機械音が言うと、すぐに続けて言うようになっていってる。槍と鉄砲の部分は、もうじゅう狩りと同じ内容だからでもあるからだろう。



『ア』

「あ」



 本来ならビックリマークが付くほど、声を張って言うのだが、機械音の真似をしたせいで驚きのない『あ』になった。



 ドクン。ドクン。



 だれが指名される?


 だれが、余った人を殺すの?








『ハムラ ナツキ』




 ────羽村 夏樹。



 一言で表すと、寛大。けれど、悪いことは悪いって言う、正義感の強い、今時珍しいタイプである。


 確か、サッカー部所属で、レギュラーだ。中々の実力者らしい。顔立ちも整っている方で、一部の女子からは熱狂的な人気があった。