────ピンポンパンポーン。
『10分が経過しました。ゲームが始まります。ゲームの間は体育館から出られません。ゲームが終わったら、トイレ休憩があります。先ほどのように、席順に並んでください…』
出られ、ない。その言葉に、恐怖を覚えた。
『イチゲームメ』
放送から、今度は機械音が聴こえた。平坦で抑揚のないそれは、ただひたすらに怖い。
始まるの、か。陽菜は胸元のリボンを握りしめる。
『ニンゲンガリニイコウヨ』
機械がそう告げる。人間を、狩ろうと。
みなはハッとして、
「人間狩りに行こうよ…」
と力なく答えた。
『シメイサレテモコワクナイ』
「指名されても怖くない…」
指名…。歌の最後に自分の名前を呼ばれたら、槍か鉄砲で人を殺すんだ。
怖くないわけがない。
『コロサレルノモコワクナイ』
…みんなはきっと、迷ったんだろう。こんな言葉を口にしていいのかって。
「…殺されるのも怖くない」
躊躇ったけど、逆らったら殺されるかもしれないから、声を合わせて言った。