「え、ちょっあれ」



 クラスの女の子が驚いたように指を指す。そう、そこは、矢澤さん達の横たわっている靴箱だった。


 丁度、角度的にあれが見えてしまう位置にいたから…。



 「死んでる」「ホントに」「嘘でしょう」
 わざわざ覗き込む人もいれば、目を頑なに閉じ、絶対に見まいと耳を塞いでる子もいた。




「うぅっ」



 特に、事実確認でアレを見た子たちは、気持ち悪そうに口元を押さえ青ざめている。



「行こうよ、犠牲者をこれ以上出さないために」



 美琴が力強く言った。

 クラスメイト達は、みんな頷いた。一致団結とは正にこのことを指すのだろう。


 千春と光太と寝ている陽菜以外、体育館へまとまって歩き出す。千春達も後ろから着いて行っていた。




 クラスメイトみなが疑問を抱えながら、しかし、無言で歩き出した。


 ―――唯たちを殺したのは、武本の関係者、つまり、この学校の教師なのだろうか。そう思うと、身体に戦慄が走った。









 既に、3人の死者が出た。かけがえのない命が、刹那の瞬間に奪われ、消えてなくなった。


 しかしそれは、
ただのプロローグ、


────前座に過ぎなかった。