そして、



 パァン!



 もう一人の取り巻きにも弾は放たれた、がパニックで腰を抜かしながらも暴れて入口の方へ逃げていたので、

彼女は、奇跡的に弾を掠めるだけで済んだ。




 そのまま、砂で汚れている靴箱を這う。



 唯と倒れた取り巻きを上履きで蹴飛ばしているのにも関わらず、ある言葉を言いながら逃げた。




『私死にたくないっ私死にたくないっ!!!』



 と。

 それは、最後の足掻きにしかならなくて、彼女は、玄関の隅に追いやられてしまった。



 陽菜は、目眩がした。頭がクラクラして、吐き気も伴う。意識が、薄れていく。



 クラスメイトの混乱した喧騒が小さくなっていく。




 やばい、と、言葉を発する間もなく、陽菜は、ドサリと床に倒れ込んだ。






『もし、これ以上待たせるのであればこんな風になりますよ』


 陽菜が倒れた後も、放送は続く。武本の声なのかどうかも分からなくなるが、この放送の声の主は、どんな神経をしているのだろうか。


 千春は、肩を震わせた。




 唯たちは、画面の奥で無残な姿に成り果てたのだ。それは、捏造なのかもしれないと千春は願うが…、もし本物だったら?