「……どうして、か。」
人差し指と中指で煙草を挟んだ桐生さんは
「莉伊の笑顔を、傍で見ていたくなった…からかな。」
そう言って、切なく眉を下げた。
その瞬間、あたしの胸がざわざわと疼き出す。
あたしはもしかしたら
人を傷つける為に
生まれてきたのかもしれない。
桐生さんに、こんな顔をさせているのも
薫から、光を奪ってしまったのも
全ての原因は、このあたしにある。
ぎゅっとハンカチを握り締めたあたしは
「……ごめんなさい…。」
桐生さんを追い越して走り出した。
花は、枯れてしまった。
どんなに水を注いでも
どんなに光を浴びても
もう、元には戻らない。
例え
どんなに変わらない愛情を注いだとしても。