「…やだ!」








数秒遅れて脳が状況を把握したところで、私はその場に崩れた。








そして、必死に叶の手を振りほどこうと掴まれていない方の手で指をはがそうとする。








だけど、男と女の違いなのか手は全く離れてくれない。








すると、前のほうを向いていた叶がこちらに顔を向けた。









「叶…、手離して!」









「離さないよ。”LINA”に紹介しに行くだけだから。じっとしてて欲しいな?」





そう言って、叶は空いているもう一方の手でポケットからカッターを取り出した。