廉さんはそんな俺を横目で見て、
僅かに口角を上げた。


廉「……翼、烈、いくぞ」


俺と、俺の少し後ろにいた烈にやっと聞こえるくらいの声。

それでも低く強い声に頷く。



ふぅっと息を吐いた瞬間、

俺たちは同時に飛び出した。

















組長「………チッ」




………バンッ…


乾いた音は廉さんを狙ったようだが、
綺麗に避けられる。


その隙に俺と烈は組長との距離を一気に詰めて俺は溝尾に、烈は横腹に一撃を与えた。



組長「…っ……ぐはっ……」




的確に急所を捉えたようで、組長はその場に倒れ込んだ。







『…律は何処だ!!!』


倒れ込んだ組長の胸ぐらを掴む。




組長「さぁな……」


組長はまたニヤリと笑って、
すぐに意識を失った。




『……くそっっ!!!』







守りたい人すら守れない。

それが悔しくてたまらない。




………ごめん、律。


俺はなんて無力なんだろう。