でも、俺は…… 穏やかなこの空間が続けばいいと思った。 腕の中で眠る、名前しか知らない女。 不思議と女に対して感じていた嫌悪感はかんじない。 この“無口な天使”が俺に舞い降りた最初で最後の天使だと気付くのは未来の話。 ―――教室で一瞬だけ見せてくれた笑顔が鮮明に思い出される。 また、笑顔見たい。 律の口角が僅かに上がった気がして、 俺の心に暖かい何かが流れ込んできた。