私は、イケメンに腕を掴まれていた。
「君、名前は?」
恐ろしい作り笑顔で言われた。
「あ、天坂百合………」
「天坂さん………」
イケメンは、腕を掴んでいた手を外して言った。
「天坂産業の令嬢か………俺のことは知ってるよな?」
「…………し、知りません………」
てか、その前に何でうちの会社のこと知ってるの??
「は?知らない?」
さっきとまるで違う態度のイケメンが言った。
「俺は、滝城涼介だ。俺を知らないなんて…」
な、何この人!?!?
てか、滝城涼介って……陽が言ってた王子様みたいな学校1のイケメン??
「あ、あの………」
滝城涼介が私を見た。
「さっきの話を聞いて何か都合が悪いことでもあるんですか??」
「ある。」
滝城涼介は、私の後にある校舎の壁に両手をついた。
いいいい今私イケメンに壁ドンされてる!?!?!?
私のはしゃいでいる心とは逆に滝城涼介は低い声で言った。
「ありありなんだよ。俺のキャラは、王子様。それでなんもかんもがうまくいってんのに、お前みたいなやつに今の事を話されたら、俺だけじゃなくて会社もだめになりかねない。」
「だ、だけど、私の話なんて信じないんじゃないですか??」
「少しでも疑い持たれたら仕舞いなんだよ。」
「い、言いません。私、言いません!!」
私がそう言うと滝城涼介の端正な顔が近づいてきた。
そして、私の耳元で
「女って生き物が一番信じらんねぇんだよ。」
と言われた。