少しして、私は落ち着いた。

椅子に座り直し深呼吸をする。

「いきなり叫んでどうしたのよ?」

隣に座った母が背中を摩りながら訊いて来る。

『結婚なんてしないから』

ポツリと呟いた。

小さく呟いた声は
隣に居る母だけに聴こえたらしい。

「何で?」

まぁ、そうなるよね。

『彼を"愛せない"から』

今度ははっきりと言った。

その言葉に彼を含め皆の顔は
表現するならポカーンだ。

「それは、どういう意味だ?」

彼が訊いて来た。

『どうもこうも
そのままの意味よ』

数秒の沈黙が妙に長く感じた。

『私は貴方を
"好き"だけど"愛せない"』

最後にそれたけよと
加えて私はキッチンへ向かった。

"愛"は二人の気持ちが
同じ時こそ"愛"なのだ。

どちらか一方が
"愛"じゃないと感じた時
それは"愛"じゃない。

そして、押し付けるだけの"愛"は
凶器となるり相手の心に見えない傷を作ってしまう。

愛が凶器に変わる時、
相手は何かのサインを出している。

世界中の恋人達よ相手からの
サインを見逃さないで欲しい。