彼の主食は主に血液だ。

けど、成人男性の腹を一杯にするまで血を飲まれたら、貧血所の話じゃなくなる。

なので、朝と夜の2回に分けて、コップ一杯分だけ血を提供する事になった。

足りない分は、トマトジュースや鉄分の多い食べ物等で補っていて、手っ取り早いジュースがお気に入りらしい。

それを買い忘れた…

すなわち…

「もう登校準備はしてあるんぢゃろう?
送ってやるから、はよう近こうよれ」

「…頼むから、手加減してよ…」

「腹が減ったらやれるモノもやれんぢゃろ?」

椅子に座った自分の膝にボクをのせ、軽く肩にかかる髪をよけて首筋をださせる。

その行為がいつもくすぐったいような、
首じゃないところが何か変な不思議な感じになる。

「んっ」

紅月はいつも噛み付く前に首筋を舐める。

その感触にまだ馴れなくて、支えられている腕にすがってしまう。

それを確かめると、牙をたてる。

「んうっー」

痛みというよりは吸い取られる感触の気持ち悪さに彼にしがみついてしまう。

「あっ…もう…やめっ…遠くなる……」

必死の爪をたてた訴えも虚しく

貧血で力つきた。