しばらくして、夜間なのに外灯もない暗い道へ入った。

女性は夜間通れない人気のない道。

「ここでこければ納得出来るのにぃ…?」

何かに躓いてこけそうになったのをなんとか堪えて、足元をよく見る。

「何か…ある…?」

ポケットからケータイを取出し、明かりを当ててみると、髪の長い男性が倒れていた。

「大丈夫ですか?」

顔を覗き込み尋ねる。

「!」

目があった瞬間、動けなくなった。

その男性の瞳が紅かったのもあるが、それだけぢゃない。

何か別の力が働いていた。


「…チッ…」

舌打ちが聞こえたと思ったら、目の前の彼に抱きつかれて……


血の流れる膝を舐められた。