「……あの。もしかして、気を悪くさせちゃいましたか……？」
「え？いえいえ！そんなことないです」
「本当ですか？」
「ほんとです。今まで言われたことのない言葉だったので少し驚きましたけど、素直な気持ちを聞かせてもらえて嬉しいです」
「！そ、そうですか……」
うんと頷く惣介さんに、私はホッと胸を撫で下ろす。
「くくっ。俺のことより、真っ直ぐというなら、琴音さんの方ですよ」
「えっ？私ですか？」
「はい。こうやって真っ直ぐに気持ちを言ってくれるでしょう？それってすごく嬉しいんですよ？でもあまりにも真っ直ぐすぎるので、ついつい、横道に反らせたくなっちゃいますけどね」
「横道に？……ひねくれた言葉を言う、とかですか？よくわかりませんけど……」
「ふ。そこがいいんですよね、琴音さんって」
「！ど、どういう……」
「そういうところです。まぁでも、いつかひねくれた琴音さんも見せてくださいね。楽しみにしてますから」
惣介さんはくすくすと笑っているけど、惣介さんの言っている言葉の意味がわからない私は、その笑う姿を見ることしかできない。
惣介さんってたまに言葉の裏に心で思っていることを隠してしまうから、私は戸惑ってしまう。
「琴音さん。じゃあ、今の俺の印象はどうなってるんですか？……って聞くの、ちょっと怖いですけど」
「……。」
今の印象なんて、すごく良くなったに決まってる。
……でも、すぐには言ってあげない。
よくわからないことを言ってくる惣介さんへの仕返しとばかりに私が返事を焦らしていると、惣介さんの顔に不安げな表情が浮かび始める。
……そう、口には出してくれなくても、こういう風にすぐに気持ちを顔に出してくれるギャップがまたいいんだよね。
