「青ってことは、もしかして俺って冷たいイメージでした?」
「冷たいっていうか……、こう海底の静けさっていう印象で……あと、何となく目が怖いっていうか」
「え。目ですか?」
「惣介さんってじっと目を見るでしょう?心の中を見透かされそうな印象を受けちゃったんですよね。料理の話をし始めるまでは沈黙が走りまくってたし、あまり話さない寡黙な人なのかなって」
「確かに沈黙は少し重かったですよね。……でも、あの時はすごく緊張してたんですよ。それに正直、この人はどんな人なんだろう、って見定めていたのもありますね。……すみません」
「あっ、悪い意味じゃないんです!すごく真っ直ぐな人なんだろうな、って印象だったから」
目の前を大きなジンベエザメが泳いでいく。
今でも真っ直ぐな人だとは思うけど、その中にあるちょっぴり意地悪なところとか小さな発見をするたびに、私は嬉しくなる。
「……真っ直ぐ、か。……一度も言われたことないな」
「え?」
惣介さんを見上げると、そこには今まで殆どみたことのない真顔があった。
しかも、その口調は敬語ではなくて。
いつもと違う様子に不安になった私は惣介さんの名前を呼ぶ。
「惣介さん……?」
「あ、いえいえ。何でもありません」
私の呼びかけに、惣介さんははっと笑顔を向けてくれたけど、私の中にもやもやが残る。
……もしかして、私、悪いこと言っちゃったのかな……?