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「……やっぱり、やるわね。琴音ってば!」
「え?」
「“彼と同じ香りを纏ってるんです”、なんて、素敵すぎるじゃないの~」
「!!」
“惣介さんと同じ香り”。
いざ言われると何か照れくさくなってしまう。
「こういう香りって最初は同じでも時間と共に人それぞれ変化するものなのよね。それがまたいいっていうか」
「あ、そうなんだ……」
「あら。まだ知らないの?じゃあ、三浦くんに抱き着いて確かめてみたらいいんじゃない?」
「えっ!?そ、そんなことできるわけないよ!」
「どうして?だってもう、お互いに好き合ってるんじゃないの?何度かしたデートだって、いつも楽しいって言ってるじゃない」
「それは……私の気持ち、だけだから」
「……三浦くんも同じじゃないの?」
「…………わからないよ」
きっと惣介さんも楽しんでるとは思う。
いつも笑顔を見せてくれてるし。
でも……私のことをどう思ってるかなんてわかるわけもなくて、だからと言って絶対に私から聞くことなんてできないし。
今がすごく楽しいから、惣介さんがどう感じているかなんて聞くのは怖い。
もし聞いて……もしもの時はどうするの?
……私はもう、惣介さんから離れられないところまで気持ちが進んでしまっている気がする。