一方、私の会社は生活雑貨を扱っているメーカーで、私は広報部に所属している。
今は来年の春に向けてパンフレットのデザイン作業をしていて。
完全にパソコンに向かって行う仕事だし、社外の人に会っても印刷屋さんくらいだから、他のメーカーと取引があると言っても、私がその人たちと関わることはあまりない。
もしかしたら、惣介さんは私の会社に来たことがあるのかもしれないとふと思った。
「あ。洗剤と柔軟剤は独断と偏見のもと、決めさせていただきました」
「あ、ありがとうございます!」
「……いえ。気に入っていただけるといいんですけど……」
惣介さんの少し自信なさげな表情に私は首を傾げる。
営業マンなら自信満々に勧めてくれたらいいのに!と思った。
「?惣介さ、ひゃっ!」
「わっ」
突然吹き荒れた木々を揺らすほどの強風に、私と惣介さんは身体を縮こまらせる。
そういえば夜から北風が強くなって寒くなると朝の天気予報で言ってたっけ、と思い出す。