「……逃げてないで、一度、ちゃんと結婚と向き合ってみなさい」
「！」
「後から気付いても遅いことがあるの。早めに確認しておいた方が絶対にいいから」
「……叔母さん」
「前向きに考えて欲しいとは思うけど、無理だと思ったら断ってもいいから。琴音の気持ちはちゃんと優先させるから。だから、ね？」
その心配そうな表情は母の姿を思わせた。
……きっと叔母だけではなく、父も母も、同じことを思っているんだと思う。
私だって子どもじゃないから、現実くらい見えてる。
……確実にこのままだと、独り身の人生だ。
それは全然悪いことではないけど……、自分がいざそうなると考えると……そんな人生は寂しいと思う。
できることなら、私は家族と言える人と過ごしていきたい。
そうは思っても……この私が相手の人に気に入られる可能性が高いとも思えなくて。
そんなに簡単に気に入られるなら、今まで何かしらあっててもおかしくないわけだし。
そう考えると、相手の人から断られる可能性の方が高い気がするし、そんなに難しく考え込むことじゃないのかも。
運が良ければ、うまくいくかもしれないってだけのことだ。
「……うん。わかった」
私は少しの可能性に一歩踏み出してみようと、お見合いをすることに決めた。
