「……遠慮はいらない、と言ったでしょう?」
「う、はい……。言われました……」
「……それに、ちょっとくらいのワガママなら、かわいいものですよ?」
「!……いや、あの……でも、そ、それは好きな人相手に限るんじゃ」
「……そう、ですかねぇ?でも、少なくとも俺は……琴音さんのワガママは聞いてあげたいと思いますよ?」
「!!」
それはどういう意味ですか!?……と聞きたい気持ちは生まれたけど、さすがに聞けるわけもなく。
……私は軽くスルーしてみる。
「で、ですか。あっ、そ、それよりも!惣介さん、いつから待ってたんですか?こんなところで待ってくれていたなんて、寒かったでしょう?」
「5分前とかですね。ひとつ前の電車でしたから」
「そうなんですね。すれ違わなくて良かったです。でも来てもらっちゃって、ほんとすみません」
「俺が勝手に来ただけなので琴音さんは謝る必要はありませんよ?それに……洗剤は口実で、俺が琴音さんに会いたかったっていうのが本音です」
「っ!!」
「だから、こうやって会えただけでラッキーです」
会いたかったんです、って……またそんな台詞を……っ!
さっきからぽんぽんと甘い台詞を吐きながらもいつもの笑顔のまま全く表情の変わらない惣介さんに、私だけが戸惑う。
何も反応できずにいると、惣介さんが「あ、そうだ」と袋を指差した。