「“気遣い名人”、ですね。惣介さんは」

「え、何ですか?それ」

「この前から思ってたんです。ハンカチを拾ってくれた時は床に落ちた部分をはらってくれてたし、ホテルのガーデンを歩いた時は歩調を合わせてくれてたでしょう?自然と気遣いのできる惣介さんって視野が広いなって。すごく素敵だと思います」

「……褒められちゃいましたね。気付いたことをしてるだけなんですけど……改めて言われるとちょっと照れくさいです」

「そういう惣介さん、私は好きですよ。これからがもっと楽しみです」

「!」

「ふふっ。なーんて。さっきのお返しです」


照れ驚きしている惣介さんは口をぽかんと開けていて。

それを見て私はくすくすと笑ってしまう。

ていうか、惣介さんとおしゃべりするのがこんなに楽しいなんて。

もしかしたら惣介さんが私にペースを合わせてくれているからなのかもしれないけど、この空間はすごく心地がよくて、自然と顔が緩んでしまう。

ふと叔母の“これは大きな1つの出逢いかもしれないわよ?”という言葉が脳裏に浮かぶ。

……そうなのかな?……そうかもしれない。

そう思わせるには十分過ぎる惣介さんを私は見つめる。