「……それだけならまだ良かったんです。自分が悪いだけですから。……でも、自分を飾るための目的で近付いてくる女も多かったんです」
「飾る……？」
「俺は自分のことはよくわかりませんけど……“カッコいい彼氏がいる”っていうのを見せびらかすために俺と付き合っていたみたいで。ただ“俺という存在”を隣に置いておけば、自分の価値が上がる、って感じなんだと思います」
「……そんな、酷い……！」
「……それを聞いた時には全く理解はできませんでしたし……少なくとも俺はちゃんと好きになって付き合っている相手でしたから、知った時はショックを受けました。“俺自身”を見てくれているわけじゃなかったんだな、と」
柔らかく笑った惣介さんだけど、それは悲しそうで、辛そうで。
惣介さんが飾りだなんて……信じられなくて、悲しくて、胸が痛い。
好きな人にそんなことを思われるなんて、惣介さんはどれだけ辛かっただろう。
「そういうことが何度も続くと、どうでもよくなってくるんですよね。……恋愛なんてどうでもいいと。俺に近付いてくる人は俺の外見しか見てないんだって。心から人を信じることなんて、無意味だと思うようになりました。……俺はいつの間にか、人を信じることができなくなってたんです」
「……」
「気付けばそういう気持ちがないまま、誘われるまま関係することも普通になってました」
「！」
「……軽蔑しますよね」
惣介さんは嘲笑する。
