惣介さんと初めて一緒に乗る電車。

思っていた通り、惣介さんは周りの女性の視線を集める。

会社でもそうだったけど、外に出ても、電車の中でも。

……そして、惣介さんの目の前にいる私も、私の存在を否定されるかのように見られる。

まるで惣介さんじゃない違う人といる感覚、周りの視線に、惣介さんの部屋につく頃には私は完全に疲れきっていた。



惣介さんの部屋にいつものように導かれて、ようやく“本当に惣介さんなんだ”と信じることができた。


「……驚きましたよ」

「えっ!?」

「そう、まさにそんな風に叫びたい心境でした。今まで一度も会ったことはなかったのに、まさか、あんなところで出くわすなんて」

「!」


コトンと目の前のテーブルに私専用のカップを、惣介さんはくすくすと笑いながら置いてくれる。

そして、惣介さんが私の隣に座ったのと同時に、私のお気に入りの紅茶の香りに混じって、いつもの惣介さんの香りがした。

“一度も会ったことはなかった”ということは、以前も惣介さんは私の会社に来たことがあったってこと?

……その姿で?


「……聞いてもいいですか?」

「……なんなりと」