***


「……惣介さん、お願いがあるんですけど」

「かしこまって何ですか?」


ソファに座って雑誌を読んでいる惣介さんの横顔を見ていた私は、どうしても我慢できなくなって口を開いた。


「あの……メガネ外してもらえませんか?」

「!え、それって……誘ってるんですか?」

「えっ?誘っ……ち、違いますっ!」

「違うんですか?……それは残念ですね」


なーんだ、と残念そうな表情を浮かべる惣介さんに、私はどぎまぎとする。


「そんなんじゃなくて……好奇心です。そのメガネの下の素顔を見てみたい、っていう。……ダメですか?」

「……」

「惣介さん?」


何も答えてくれない惣介さんの顔を覗き込むと。


「やっぱり……誘ってるじゃないですか。琴音さんって……ですね」


語尾がだんだんと小さくなっていって、惣介さんが何を言ったのか聞こえなかった。

私が、何?