「……まぁ確かに、“惚れた”とは言ったことないですよね」

「!!」

「……でもそれは、口に出してないだけ、です」

「え?」


惣介さんはまだ不安そうな表情のまま、私のことを見ている。


「……さっきのは、今以上にもっと惚れそう、って意味なんです」

「!」

「今も……惚れてるに決まってます。心の中ではいつも思ってます。……惣介さんが大好きです」


ちょっと照れてしまうけど、誤解される前に素直な気持ちを出しておこうと、私はしっかりと目を見つめて惣介さんに伝える。

惣介さんはハァと息を吐いた後、口を開いた。


「……やっぱり、俺の完敗ですね。琴音さんはズルいです……俺は琴音さんのたった一言で喜びもするし、落ち込みもするんです」

「!……私だって同じですよ?私だって、惣介さ……ひゃっ!?」


いつの間にか背後から伸びてきたらしい惣介さんの腕に引き込まれる。

腕に力がこもって、ぎゅうっと抱き締められた。


「それ以上俺を喜ばせてしまうと、大変なことになりますよ?いいんですか?」

「!そ、それってどういう……」


惣介さんの回答を待っていると、惣介さんがモゾと動き、私の耳元に唇を近付けて囁くように言った。