「あ、惣介さんは座っててください!これくらいさせてください!」
「……嫌です。」
「えっ?」
「二人で洗った方が早く終わるでしょう?俺は早く琴音さんとまったりしたいですし……それに、もう“遠慮名人”はいりませんから」
ね?、と私の顔を覗き込むようにして言われて、邪険に断れるはずもなく。
私は甘える。
「……本当にいいんですか?」
「もちろんですよ」
「……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
「いえ?ドンと来い、です」
「琴音さんは泡々してください。俺は流しますから」と言ったのを合図に洗い物を始めた。
私は泡々しながら、料理の感想とか味付けのこととかを伝えたり聞いたりすると、惣介さんは嬉しそうに頷いたり答えたりしてくれた。
惣介さんは昔から料理が好きでよくしていたらしく、全く苦じゃないことも話してくれた。
……「結婚したら俺は料理担当がいいです」という、私をどきりとさせる言葉も発して。
あーだこーだおしゃべりしながらの洗い物は、いつもだったら面倒だと思うのに、すごく楽しくて。
何枚でもお皿洗える!と大袈裟にも思ってしまった。