「……惚れそうです……」

「……え?」

「惣介さんに惚れそう、って言ったんです」

「えぇっ!?」


驚いた様子の惣介さんは目を丸くして私を見ている。

だって、これは惚れるでしょ!?

私の目の前に並べられるのは、トマトソースのパスタとコンソメスープとサラダ。

パスタには今日惣介さんの部屋を訪れることになった理由の高級海老が乗っていて。

どれもこれもお店に並べられそうなくらい、見た目も素敵だし、なによりもおいしそうだ。

惣介さんに「そんなに見ないでください」と苦笑いされながらも、作っている様子をじっと見ていたんだけど、手際も慣れたもので。

……そもそも普通程度かそれ以下しか料理のできない私は、完敗だった。


「っていうか、惚れてもらえてなかったんですね……。まさか一方通行だったなんて、ショックです……」


おいしそうな料理の前でがっくりと頭を下げる惣介さんは、まだその頭にちょんまげが乗っていて。

普段は見れない輪郭にドキッとする。

……って、ダメダメ!ドキドキするのは後にしよう!