「……これからは一人で泣いちゃダメですからね。禁止です」

「……惣介さんにいじめられても?」

「その時も絶対に俺の前で泣いてください。頑張ってなだめて許してもらいますから」

「ふふっ、はい」

「あと……悩んだときは一人で悩まないで相談してください。迷惑なんて絶対に思わないし、絶対に嫌うことなんてありませんから」

「!はい……っ!」


ふわりと惣介さんの腕が私の背中に回って、抱きしめられる。

運転席と助手席の距離のせいで少し辛い体勢だけど、今はそんなのどうでもいい。

少しでも近付きたいと私は身体を運転席の方にもそもそと移動させて、惣介さんの背中に手を回した。


「……あったかいです」

「はい。琴音さんも。ふわふわしててあったかいです」

「っ」


耳元で囁くように言われてつい声が出そうになってしまったけど、必死に抑えた。

どぎまぎしていると、追い討ちをかけるように惣介さんがぼそっと呟いた。

……「大好きです」と。