「……同じものを選んだ理由、琴音さんは何だと思いましたか?」

「え?……っと」


私のためにわざわざ選ぶのが面倒だったから?

……って正直思ってしまったけど、わざわざ届けに来てくれた惣介さんにそれを言えるわけなんかなくて。

それに、もしその理由だとしても、同じ香りを使ってもいいと言われたようで、それだけで嬉しかったから、何の問題もない。

……とは言っても、実際そうだとしたらショックだけど。

こうやって質問してくるって事は、ちゃんとした理由があるってことだよね?

冗談でも、“面倒だった”なんて言われないことを祈るだけだ。


「……わかりません」

「……いずれそうなるわけだし、今のうちに同じものを使ってもらって丸め込んでおこう……って思ったんですよね」

「な、なるほど……丸め込む、ですか……」


それはしっかり納得のできる明らかな理由で。

同じ暮らしをするなら、経済的にもスペース的にも、同じものを使うのが一番良くて。

今のうちに慣れさせておこうっていう感じ……?

……うん。確かに合理的だ。


「……っていうのは単なる言い訳で……」

「えっ?」


何だか言いづらそうに惣介さんは目線を私から外して、斜め上を見る。

……まさか、本当に“面倒だったから”なんて言われないよね……?

不安を感じながら惣介さんの次の言葉を待っていると、惣介さんが決意したように私に目線を戻した。