「素敵でしたね~水族館!イルカのショーも楽しかったし!」

「はい。琴音さんが楽しそうにしていて、俺もすごく楽しかったです。琴音さんと心が連動してるような感覚でした」

「!……またそういうこと言うんですね……」

「え?」

「……いえ!独り言です!」


私たちは水族館を出た後、近くにある桟橋に足を伸ばしていた。

楽しくて、心が温かくて、気分が良くなっていた私は足取り軽く、桟橋の上を我先にと歩く。

惣介さんはきっとのんびり後ろを歩いてきているだろうと思って、ある場所で柵に手を掛けて海を眺めた。

海風はひんやりと冷たいけどすごく気持ちよくて、私はすーはーと深呼吸をする。


「琴音さん。禁止事項をもう1つ増やします」

「え?」

「言いかけて言葉を飲み込むのはダメです!理由は俺が気になるからです!」

「えっ!?」


惣介さんの言葉に振り向いた瞬間、その顔の近さに私は驚いて後ずさってしまうと。

足元にあったポールに運悪く足を取られてしまった。


「ひゃ……っ!?」

「あっ、琴音さん!」

「……っ!!」


そのまま身体が傾いていくと思っていたのに一向にその気配はなくて、ぐっと力強く私の身体を支えるもの。

香りですぐにわかった。

それは紛れもなく……惣介さんだって。