「冷たい青から温かいオレンジ。かなりの大逆転劇ですね……。しかも朝日って柄じゃないですし……オレンジなんて温かい色、俺にはすごくもったいないですね」

「いいえ!ぴったりなんです。私にはそう感じるんです」

「……もしそう感じるとしたら、きっと、相手が琴音さんだからですよ」

「え?……私、だからですか?」

「はい。……オレンジは琴音さんのためだけの、色です。きっと、これからもずっと」


ふわっと笑った惣介さんは、水槽に目線を移す。

それはまるで照れ隠ししているようにも見えた。

……目の前がピンクに染まる、ってこういうことなんだ。

もう何年も恋を失っていた私には見ることのなかった景色。

ドキドキと心臓の鼓動が速くなっていって、身体が熱い。

……惣介さんへの気持ちが……急激に膨らんでいくようで、どうにかなりそうだ。

はぁ、と息をついて、私も水槽に目線を移す。

そこには、仲良く泳ぐ大きい魚と小さい魚。

まるで恋人同士のようで、ほっこりと温かい気持ちになる。

なんか……いいなぁ。


「琴音さん」

「!あっ、はいっ!?」

「……桜色、です」

「え?」