からんからん。
「あ、どうも!こんにちは!いや、はじめまして?」
出迎えたのは、男の人。いや、男の子?
とにかく、何この人?
「は、はじめまして・・・・」
カードを差し出す。
「あなたは・・・・噂の『フシギさん』ですね?」
ふ、フシギさん?
「あなたは?」
「あ、僕、この図書館の『館長』です。以後、お見知りおきを」
「か、『館長』さん?」
「はい!クリスマスと大晦日と正月と三ヶ日は僕が当番なんですけど・・・・クリスマスには来てませんでしたもんね」
ニッコリ良い笑顔で言った。
何で、ここの人達は、美形なんだろう・・・・。
偶然か
必然か
分かる気がしない・・・・。
けどね。
「あぁ、はい!そうだそうだ!オススメ、読みますか?」
「え?あ、どんなのですか?」
「とある人達の人生。って、ここにある本全部に言えることですけどね」
え?
どうゆう事?
『ある人の人生』?
ここにある本全部に言えること?
「じ、冗談ですか?」
「まさか!ホントですよ!嘘付いてどうするんですか!」
・・・・目がマジだ・・・・。
「まぁ、細かいことは気にしないで下さい!どうぞ!」
・・・・『館長』さん。ピエロみたいだ。
そんなことを思いながら、『館長』さんから本を受け取って読み始めた。
幾つかの物語。
全てはとある者達から始まる。
登場人物達は『自分達の世界が現実』だと、
『全ては幻』だと、この本を読んで嘲笑うだろう。
本当の世界。
嘘の世界。
真実の世界。
理想の世界。
幻の世界。
それぞれに住む役者達は、
自分の世界以外の世界を、
『異世界』と呼んでいた。
しかし、一体どの世界が『現実』で
どの世界が『幻』か
知るすべは、何処にもない。
「ねぇねぇ!こんな感じにしとけば、雰囲気出るかな?」
「ぶち壊さないの」
「あらやだ」
「どこの叔母ちゃんですか」
真面目で妹より少し劣っている優しい兄
「テヘペロ☆彡」
元気で明るい天才的な妹
双子の世界を回る旅が始まる。
「ねぇねぇ!こんな感じにしとけば、雰囲気出るかな?」
「だから、それで雰囲気ぶち壊してるんだってば」
「え゛?」
「『マジで!?』みたいな顔されても・・・・」
お茶会中
「・・・・ねー。琥珀」
僕、曉 琥珀(アカツキ コハク)を誰かが呼んだ。
まぁ、呼び捨て呼ぶのは、一人しかいないが。
「何?翡翠」
僕の双子の妹、曉 翡翠(アカツキ ヒスイ)。
「世界って、一つじゃないよね?」
「どうなんだろ?分かんないなぁ・・・・」
「気になる?」
「なる」
「じゃ、行こう!」
「え?・・・・まさか・・・・」
「ほかの世界があるか、探してみよう!」
と、なった。
「いや、それで、僕かノると思ってるの?」
「え?行かないの?琥珀」
キョトンとしている。
「いや翡翠。それで、僕が行くと思ってるって事の方が驚きだよ」
少々呆れた。
「きっと楽しいよ?行かないの?」
翡翠が詰め寄ってくる。
「どうなの?琥珀!ねぇ!琥珀!どうなの?」
翡翠は目の前にいる。
ちょ、近い!近い!
「わ、分かった!負けました!行きます!行きます!だから、離れて!」
「いよっしゃ!」
ガッツポーズを決める翡翠。
僕は翡翠に弱い。
僕等はちょっと特別。
不思議な空間にある大豪邸に住んでいる。
親は知らない。
突然、現れたらしいから。
育てた人も分からない。
いなかったし。
僕らを知るのは誰もいない。
てか、僕は知らない。
兎に角、僕らは不思議にまみれている。
だから・・・・?
自分にも分からない事だらけだ。
・・・・何なんだろ。
誰なんだろ。
僕らは、
なんて。
答えてくれる人なんて、
いないけど。
「琥珀~?コーハークー?お~い?」
「・・・・え?何?」
「ボーッとしてたからさぁ~(笑)」
「う、嘘?」
「ホントだってwww。面白~い」
ケラケラ笑う。
「何だよ?そんな事言ってると一緒に行かないよ?翡翠」
ニヤリと笑ってみせる。
「ゴメンナサイッ!許してくださいっ!ついて来て下さいっ!」
凄い勢いで土下座する。
「アハハハハッ!冗談だよっ」
翡翠の頭を撫でる。
「むー・・・・琥珀のイジワルー・・・・あたしより弱い癖にぃ・・・・」
「アハハハハッ!ゴメンゴメン」
面白いなぁ。
「いろんな世界、見て回ってやるっ」
「どこまでもついて行きますよー。お姫様」
「にゅ!?お、お姫さまは余計だっつーの!」
僕らは傍観者。
だからね。