「ども……」
コンビニに入ると、神崎さんは雑誌のコーナーにいた。
手には少し大人向けのファッション雑誌が握られている。
背の高い彼女には、同年代よりも、少しだけ大人の格好が似合うのかもしれない。
「あ! 来てくれたんだ!」
「来い」と言っておいて、「来てくれたんだ」と言う神崎さん。
でも、僕が見たその笑顔は、思いがけず嬉しくて、僕の中の、男に類する部分を、少しだけ誇らしくさせた。
「ねえ、ねえ、ここじゃあれだからさ。ファミレスかどっかいこ?」
「あ……あの~ですね……」
「ん?」
陳列棚をちょんちょんと触り、次に飲料ケースのドアを意味もなく開閉させながら、神崎さんは振り向く。
歩き続ける神崎さんの後を僕はついて歩きながら、学校で、いつも見ていたのが横顔で、正面の顔を初めて見ていることに気づいた。
そして、僕は比較的頻繁に、彼女の横顔を見ている自分にも気づいていた。