会えるわけがない。

僕には柊がいる。

たとえ、僕らが今、微妙な時であっても、それがやましいことでなくとも、誤解を招くようなことは、最大限排除するべきだ。

会うわけにはいかない。



「じゃ! 待ってるね!」

僕に断る余裕も与えず、神崎さんはそう言うと、電話を切った。